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「日本会議」関連の新書3冊を読む

「日本会議」を世に知らしめた3冊

日本会議について知っておきたいと思って、目についた3冊を読んでみた。
発行はいずれも2016年で、まだマスコミもほとんど取り上げていなかった時期だ。日本会議という特異な右翼団体の危険性をいち早く訴えた、意義深い仕事だと思う。

同じ組織のことを書いてあるのだから同じ情報を何度も読まされることにはなるけれど、それぞれ切り口が違っているので続けて読んでも飽きることはなかった。3冊一気読みすると、その違いを味わうというヘンな楽しみ方もできる。それぞれ面白いし。

  1. 山崎雅弘『日本会議 戦前回帰への情念』(2016年 集英社新書)
  2. 菅野完『日本会議の研究』(2016年 扶桑社新書)
  3. 青木理『日本会議の正体』(2016年 平凡社新書)

もし3冊とも読むんだったら、上の順番がいいかなと思う。僕が読んだ順番は違ったけれど。

「日本会議は何を考えているのか」が一番すっきり分かるのが①で、②と③はどちらかと言うと「日本会議の黒幕はどういう人たちか」に重心がある。この点もまた重要で、これを知らないと日本会議を本当に知ったことにはならないかもしれない。安田浩一『「右翼」の戦後史』の読後メモで書いた「新しい右翼」の人々だ。黒幕を暴くルポとして読者を引き込む力は②のほうが上だろう。ポイントは彼らの出自と運動スタイルで、③でもそれは明らかにされるが、②に比べると筆致はクールだ。でも、③は後半の50ページ以上を使って日本会議が「勝ち取ってきたもの」を時系列でまとめてあって、戦後の日本社会からいかに多くのものを彼らが奪ってきたかを実感させられる。彼らは過去何十年もかけて自分たちの思う社会の実現へと歩みを進めてきたのだ。

第24回参議院議員通常選挙

この3冊が2016年に発行されたということにはすでに触れたが、第1刷発行日、つまり最初に世に出た日を奥付で確認すると②が5月1日、③が7月8日、①が7月20日。

実はこの年の7月10日が第24回参議院議員通常選挙の投票日だった。そして日本会議の面々はこの選挙を、悲願である憲法改正への天王山として強く意識していた。衆院はすでに3分の2以上の議席を与党が占めていたから、この選挙で参院も(非改選議席を含めて)3分の2を確保できれば改憲の発議ができる。安倍首相もそれらしいことを言っていたし、実際にそうなりそうな勢いだったし、実際にそうなってしまった。まさにこの選挙の結果、与党がまとまればいつでも改憲できる世の中が到来してしまったのである。

三人の著者がこの参院選の重要性を認識していなかったはずはない。だから本当は①と③も選挙が始まる前に世に問いたかったのではないかなと思う。まあ、そんなことは一言も書かれてはいないけれど。

このあと3冊それぞれについて書いていくつもりだったのだけれど、書いても書いても終わりが見えなくなってしまったので、とりあえずここで切ってアップする。完成したらリンクを張るけど、根気が続くかな、無理かもな。

できました。とりとめのないものになってしまったけれど。(2018/11/29)

改めてロング・バージョンを投稿しました。(2019/01/30)

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