ツイッターでウヨクの方々の発言を見ていると、「バカじゃないのか、こいつ」とか「どうやったらこういう人間になるんだろう」と思うケースがほとんどなんだけど、中には知識も教養もボキャブラリーも豊富で、「とてもこの人には太刀打ちできない」と途方に暮れてしまうことがある。
朱美 🐾(しゅうび) and Kou™(@KouTM)
たとえばこのアカウント。(2020年4月現在「🐳監視団長の🐾 and Kou™」)
このアカウントは世論調査(内閣・政党支持率など)と経済政策とネコに関するツイートしかしないのだが、世論調査については客観的な数値分析に徹しているのに対して、経済政策については完全に政権側に立ち、政策批判者を次々に吊し上げて罵倒する。相手が政治家であろうと大学教授であろうとアホ扱いで、「病院行け」「診察してもらえ」「デマ」「阿呆」など、その口ぶりはネトウヨそのものだ。
で、罵声を浴びせて終わりの場合も多いが、ときに本気で反論することがあって、これがすごい。相変わらず言葉は汚いものの長々と書き連ねることはなく、論拠となるデータを提示してバッサリ切り捨てるのだ。よく目にするのが日銀の動きとか年金の資金運用・実績などで、日本だけでなく他国のデータもポンポン出してくるので、その知識と情報管理力には本当に感心する。
左翼側の主張に対して実に小まめに反撃してくるし、知識と情報が豊富で自信満々。だから、とても太刀打ちできないと思うと同時に、政府あるいは自民党内部の人のアカウントではないかと勘ぐってしまう。
しかし、「自民党員ではない」というツイートを以前見かけたから、まったくの私人なのかもしれない。個人投資家か何かで株高が続く今の状況を肯定的に見ているとか。いずれにしても反共・反リベラル感情を強く持っていることは間違いなさそうだけど。
nobutake_Ishii (@nobutake_Ishii)
今日見つけたのがこのアカウント。
「皇紀」を真正面から肯定するど真ん中の右翼で、日本は先住民侵略をしたことがないと言い張る「日本スゴイ」論者なんだけど、この人もハンパない知識の持ち主で、次から次へとそれらしい論拠を示しながら理詰めで攻める。しかも矢継ぎ早に投稿してくるので、「全部アタマに入ってるのか」とさえ思えてくる。
上のツイートは10月27日のもの。この何日も前からアイヌに関する議論が続いていたのだが、27日だけで26ものツイート(すべてアイヌ関連)をしていて、国連、ILO、縄文人、他国の入植の歴史、ウタリ協会の活動歴などなど、思いつきでは書けそうにない多様な情報が次々に繰り出される。歴史学者の論考が出典として示されていたりもするし、他の日まで遡って覗いてみると書籍だけでなく国会の見解、国連の人権報告書など呆れるくらい多岐に渡る資料に言及している。圧倒されてしまう。ツイッター上の論争相手も次々に沈黙していく。
これが歴史修正主義者というやつなのだろうか。まあ、反論の糸口も見つからない分際でこんなことを言うと誹謗中傷になってしまうけど。
とにかくいろいろなことを調べて手札を揃えているのは確か。それを畳みかけるように投げつけてくるから、受ける側は萎縮してしまう。問題はそうやって論拠として提示されたものが正しいのかどうかだ。正しいのならいい。でも、南京大虐殺や慰安婦問題にまつわるウヨク界隈の発言では、デマがデマを生むような情報の拡散が起こったし、それを利用した詭弁がはびこった。だから、気圧されてばかりではいけないわけで…。
引用元として「レルネット主幹 三宅善信」という見知らぬ名前を見かけたのでWikipediaで調べてみたら、「日本の宗教家。金光教泉尾教会総長、NPO法人神道国際学会代表理事・理事長、株式会社レルネット(Relnet Corp.)代表取締役。」とあった。宗教絡み。nobutake_Ishii氏もこの関係の人なんだろうか。宗教を信じている人は強いもんな。
ヘタに反論できないなあ。でも黙り込んだら終わりだよなあ。
そんなわけでウヨクの方々の中には、有能で強力な論客がいる。ばっちり理論武装してるし自信満々だし雄弁だから、ヘタに反論しても返り討ちに遭ってチャンチャンで終わりそう。
でも、ひるんでいてもしかたがない。
知識量でも回転の速さでもかないそうにないけれど、そこで黙ってしまってはいけないんだろうと思う。示される論拠に最初は圧倒されるだろうが、一つひとつ検証していけば偏っていたりガセだったりする部分が見つかるかもしれない。「おかしいだろ」と思ったことにはそうやって地道な努力をしていくしかないんだろうな、たぶん。
過酷な世界だわ。